【社会】「東大女子」に対する差別はあるのか？ 高学歴女子を白黒ジャッジしたがる世間の思惑

ALL about※調査期間：4月19日～5月5日、有効回答数：51名（男性34名、女性17名）
https://news.yahoo.co.jp/articles/d8ce35bca546ba73c346af70fa0cad36f85b789d

現役東大生と東大出身者を対象としたアンケートを実施。「東大女子に対する差別を感じたことはありますか」との質問に、女性の41％、男性の50％が「ある」と答えた。

興味深いのは、女性が当事者として「少しおしゃれをするだけで、東大なのにとコメントされる」「腫れ物のように扱われるので、バイト先などでは東大ですと言いづらい」「東大だということを東大出身以外の男性に話すと、かなりネガティブに驚く」と外部からの差別を感じる傍らで、男性もまたそれに同情的だということだ。

“東大の学内で学生として普通に生活している限りでは東大の女子を差別するようなことは全くないが、女子に尋ねると就職や結婚の面で不安を感じている人が少なくない。東大女子がどうしてそのような待遇の中に置かれるのかという理由や背景も理解ができない”
“羨みから生まれる、なぜか蔑むような目を友達が向けられているのを見たことがある”

更に現役東大生である女性のコメントが光る。

“東大に所属している女性を不必要に社会的カテゴリー化しているように思える。『東大女子』に限らず、マスメディアが意図して作り上げたい東京大学像というものを感じる”

どうやら、東大の内部よりも世間が「東大女子」を特別視して、何らかの色付けをしたがっているようなのである。

◆「東大女子」と聞いた世間が下したがる、両極端なジャッジ
なぜなのだろう、世間は「東大女子」という言葉を聞くと「なんか反発する」か、「妙に擁護する」に二分されるようだ。「なんか反発する」人たちの反応は、ざっとこんな感じだろう。

「プライドが高くて、心の中では人を冷たく見下しているんだろうなって思う」
「頭はいいんだけど、お堅くて気が利かないイメージ。世間知らずっていうか」
「意外と可愛い東大女子ってたまにいるけどさ、『私東大ですけど、世間から浮いてません』ってなじもうとして、逆にわざとらしさを感じるよね。ナチュラルに可愛い子たちとはやっぱり違う」
「どう転んでも謙虚ではなさそう。基本的に自意識過剰な人が多い印象」

コンプレックスであれ、嫉妬や憧れであれ、人々は東大の二文字に対して特殊な感情を持つということなのだろう。

しかも身の回りに「東大女子」に該当する女性がいてよく知っている人は、こういう反応をしない。最近どうしたことかテレビではよく見るようになったけれど、そもそも「東大女子」の実数はまだまだ全然少ない、レアキャラだ。

ということは、みんな実在の具体的な東大女子について語っているというよりも、メディアで見たり噂で聞いたり、学校や職場で見聞きする「東大女子への一方的で断片的なイメージ」について自分が抱いた印象を語っている場合の方が多いのではないか？

これらは本質的に「擁護」などではないということにお気づきだろうか。「男とは、女とは」に対するものすごく固定した偏見の変化球に過ぎないのだ。

「頭のいい女の子」が「バシーッと叱ってくれそう」だから「憧れる」などというのは、「頭のいい女の子はバシーッと叱る」という先入観と（穏やかなタイプだって多いのに）、「叱られたい」という個人的なファンタジーの開陳に過ぎない。
「頭のいい女子はこれから必要」というのは、じゃあ今までは頭のいい女子は不必要だったということか。古今東西、頭のいい女子なんて当然ずっと存在していたのに、「女のくせに」と無視されたり「女なんだから」と抑圧されてきただけである。「女の人も社会進出」というのと同根だ。女の人は、いまさら進出なんてしなくてもずっと社会にいたけど誰かには見えていなかった、見ようとしなかっただけだ。

そしてもうひとつ厄介なのが、不思議な「高学歴男子サゲ、高学歴女子アゲ」である。女子が優秀なのを褒めたいからって、わざわざ男子と並べて男子を悪く言う必要はないのだが、あくまでも「男子よりも」と固執するところに、その人の逆バイアスやルサンチマンがあることに、本人は気づいているだろうか。

かように、「東大女子」という言葉を前にした人はおかしな反応を見せる。それは「東大」と「女子」の二語が、それぞれに先入観を持たれがちな言葉だからだ。「日本の学歴ピラミッドの頂点・東大」と、「若いオンナノコ」の組み合わせに、なぜか誰もが自分なりの好き嫌いのジャッジを下したがるのである。そしてそれは「ワセジョ」とか「慶應女子」に対するよりも激しめの反応になる。(以下リンク先で)