【ウクライナ情勢】ロシア継戦能力「まだある」　核使用、プーチン氏次第―防衛研・高橋杉雄氏インタビュー

※2023年02月20日07時01分
時事通信

　ロシアによるウクライナ侵攻から間もなく１年が経過する。防衛研究所の高橋杉雄防衛政策研究室長は１９日までに時事通信のインタビューに応じ、現状では両国とも停戦や終戦に合意するのは難しく、戦争の長期化は避けられないとの見方を示した。主なやりとりは次の通り。

　―戦争が長期化している。
　戦場の広さ、動員兵力は両国で１００万人を超え、第２次世界大戦以降、最大級の戦争になっている。この規模の戦争が始まれば簡単には終わらない。

　―ロシアは長期戦を想定していたのか。
　簡単に勝って終わると思っていたのだろう。ウクライナの戦う意思をプーチン大統領が完全に過小評価していた。恐らくプーチン氏には「ロシア軍が行けばウクライナはすぐ崩壊する」との誤った情報が入っていた。この情報を基に軍事作戦を立案していたのではないか。

　―ロシアの攻勢が春に始まるとされている。
　ロシアの攻勢はもう始まっている。動員した３０万人の予備役のうち、まだ戦場に投入していない１５万人の部隊で、昨秋撤退したドネツク州北部のリマンなどを奪還し、リマン南方のバフムトからウクライナ軍を挟撃する作戦を狙うと見込まれる。
　ウクライナ軍がこれにどう対応するかで戦況は大きく変わる。提供されたドイツ製戦車「レオパルト２」などの戦力が十分訓練されて投入されれば、昨秋のようにウクライナの反攻を成功させる要因になるだろう。
　―ロシアとウクライナの継戦能力は。
　ウクライナ軍の状況が全く分からない。最大の謎は予備兵力がどれくらいあるのかだ。ロシアは戦いを続ける能力がまだある。欧米などから経済制裁を受けているが、戦時生産能力は継続できている。

　―停戦、終戦の見通しは。
　基本的にはロシアが戦争に疲れ果てるまで終わらない。プーチン氏が戦意を失わない限りは、ウクライナから追い出されたとしても、爆撃は続くし、黒海の海上封鎖も続けるだろう。ウクライナも、占領された領土を相手に押さえられたままの停戦というのはあり得ない。

　―ロシアが核兵器を使用する可能性も指摘されている。

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