【列島エイリアンズ】 日本でないと学べない学問などほとんどない…中国人学生は辛辣 ご都合主義的な誘致の是非

岸田政権が推し進める留学生４０万人計画には、学生不足で困窮する私立大学や人手不足にあえぐ産業界からの期待がのしかかっていた。
しかし、そんなご都合主義的な留学生誘致で、「宝」と呼べるほどの留学生が集まるとは到底思えない。

そもそも日本留学を目指す中国人学生と、欧米を目指す中国人学生は動機や目的などで傾向が異なっている。

コロナ前の話になるが、日本の古典を研究するため、都内の私立大学に留学していた中国人女子学生にこんな話を聞いた。

「私がいた大学のクラスメートの３分の１は『本命だった英語学科には学力が及ばなかったが、何とか中国を脱出したいので、
難易度が低い日本語学科にきた』という人。そういった意味では、あと、アニメオタクも３分の１くらい。
日本への留学は　欧米と比べて学費や生活費も安く、転売ヤーでもすれば日本人の平均給与くらいは簡単に稼げるので、
遊び気分で日本にくる人も多い。日本で真剣に何かを学びたいという人は、私の学校では少なかった。
北米や欧州なら、経営やテクノロジーを学びに行くという留学生も多いのですが、日本でなければ学べないという学問は、
ほとんどないのも理由の１つかもしれません」

なかなか辛辣な指摘である。確かに近年の世界の大学ランキングなどを見ても、日本の大学は東京大学がトップ５０位に入っているくらいで、
上位はアメリカやイギリス、中国の大学が占めている。
これでは将来、いわゆる「高度人材」となることが期待されるような優秀な留学生を集めることは困難に思える。

留学生の卒業後の定着率の低さも問題だ。独立行政法人・日本学生支援機構の「外国人留学生進路状況」によると、
２０２１年度に大学を卒業したのち、日本に継続して居住することを選んだ留学生の割合は６５・７％。
これが修士課程修了者になると５４・３％。博士課程修了者では４９・３％となっている。

これはコロナ禍という特別事情下での現象ではなさそうだ。１８年度の同統計でも、日本に居住することを選んだ留学生の割合は、
大卒者で７０％、修士課程修了者で６１％、博士課程修了者で４２・２％。
上級学位を修めた留学生ほど日本への定着率が低いのである。

大学院留学は、会社員や公務員が学び、その後、母国の企業や行政に戻るケースが多いことが影響している可能性もあるが、
高度人材の獲得という観点からすれば、機を逸しているようにもみえる。
修士や博士の学歴に見合った待遇やポストを提示できる日本の民間企業が少ない現状では、彼らをつなぎ止めることは困難だろう。

大学教育の質の向上と、高度人材が定着するだけの魅力的な雇用環境がなければ、４０万人の留学生誘致策を推し進めたところで、
「我が国の宝」はしょせん絵に描いた餅ではないだろうか。　＝この項おわり

■１都３県に住む外国人は１２０万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。
ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、
東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。
中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。
その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン（異邦人）という意味を込めて。
■奥窪優木

夕刊フジ　2023.8/19 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20230819-URDNQML2DRJBPOTDCA3UP6KZPI/

中国史の史料もいっぱい持ってるし

存在価値ゼロのFラン淘汰が国策でできないのは、天下り教授ポストを守らないと、官僚に怒られるから