小渕氏復権へ最初の試練　衆参２補選で自民の「顔」―負のイメージ払拭課題

９月の自民党役員人事で「目玉」として起用された小渕優子選対委員長（４９）が最初の試練を迎えている。今月２２日投開票の衆参２補欠選挙では、実務を担うのに加えて「党の顔」の役も期待される立場。ただ、過去の政治資金問題を巡り公明党との関係がぎくしゃくするなど、負のイメージを払拭するのは容易でなさそうだ。
　「新体制になって初めて行われる選挙。何が何でも負けるわけにはいかないんです」。参院徳島・高知選挙区補選が告示された５日、応援に駆け付けた小渕氏は徳島市内で声を張り上げ、自民候補の「必勝」を訴えた。
　１０日告示の衆院長崎４区補選と併せ、事実上の与野党対決となる２補選は、岸田政権に対する中間評価が下される場となる。小渕氏にとっては新ポストでの「初陣」。いずれも接戦の様相を呈しており、力量が問われる。岸田文雄首相は６日、小渕氏を首相官邸に呼んで情勢を聴き、「しっかりやるように」とハッパを掛けた。
　自民の選対委員長ポストは党四役の一角を占めるが、選挙対策も統括する幹事長とのすみ分けがあいまい。それまでのキャリアなどにより、実際の役割に差異が生じる。
　小渕氏の場合、茂木敏充幹事長は所属派閥の領袖（りょうしゅう）だ。衆院当選８回を数えるが、関連政治団体が催した観劇会に関する政治資金問題で２０１４年に経済産業相を辞任した後は表舞台に立てない時期が続いたこともあり、重量感を欠く。自民関係者は「茂木氏や、小渕氏の前任の森山裕総務会長が選挙を仕切る場面が増えるだろう」と話す。
　９月１３日の就任記者会見では、資金問題に質問が集中した。立憲民主党はこの問題を今後も取り上げる構えだ。
　そうした状況に対する小渕氏の気負いは、公明党との関係でも垣間見られる。同党の山口那津男代表は同２４日の民放番組で小渕氏の「説明責任」に言及し、「そこを打破しなければ、大きな活躍はできない」と強調した。これを聞いた小渕氏は公明側に猛抗議。さらに山口氏を訪ね、「資料に基づき説明を尽くしてきたつもりです」と反論した。
　山口氏がその後に記者団に「大きな立場で頑張ってほしい」と述べたことで、ひとまず沈静化した形だが、余波は残っているもよう。衆院長崎４区補選では公明の自民候補に対する推薦が遅れ、幹部の応援日程も決まらない状態が続いた。
　自民幹部は「原因は山口氏と小渕氏の関係だろう」と指摘。小渕氏の対応に懸念を示した。

時事通信　2023年10月08日07時07分
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